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人事・労務の手引き

2008年02月20日 
パートタイム労働法が変わります!

少子高齢化、労働力人口減少社会で、パート労働者が能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、パートタイム労働法が改正されました。
改正パートタイム労働法を遵守するには、企業は何をすればよいのでしょうか?

パートタイム労働者とは
「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」をいいます。「パート」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「準社員」など呼び方は異なっても、この条件に当てはまる労働者であれば、「パートタイム労働者」としてこの法の対象になります。

◆◇◆ 改正のポイント ◆◇◆
①雇い入れの際、労働条件を文書などで明示 <改正法第6条>
②待遇の決定に当たって考慮した事項についての説明が義務化 <改正法第13条>
③パートタイム労働者の差別的取扱いを禁止 <改正法第8条>
④正社員登用制度を導入すること <改正法第12条>
⑤苦情処理・紛争の自主的解決 (努力義務)

①労働条件通知書並びに雇用契約書を交付しましょう
パートタイム労働者を雇入れる際に、労働条件通知書並びに雇用契約書を作成して提示・取り交わしをしておきましょう。

今回の改正法により、労働基準法で文書交付を義務付けられている事項に加え、昇給、退職手当、賞与の有無についても文書(パートタイム労働者が希望した場合は電子メールやFAXでも可能)による明示が義務付けられました。
<<これに違反すると10万円の過料が処せられます。>>

②雇い入れ後も待遇について説明をしましょう
雇い入れた後も、パートタイム労働者から求められたときは、待遇の決定に当たって考慮した事項を説明しなければならなくなりました。

<<説明義務が課せられる事項>>
●労働条件の文書交付等●就業規則の作成手続●待遇の差別的取扱い禁止●賃金の決定方法●教育訓練●福利厚生施設●正社員への転換を推進するための措置

③パートタイム労働者に均衡のとれたな待遇を確保しましょう
期間の定めのない労働契約(反復更新により、期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められるものを含む)を締結している者のうち、その職務内容及び配置の変更の範囲が通常の労働者(いわゆる正社員)と同一であると見込まれるパートタイム労働者に対して、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などについて、パートタイム労働者であることを理由に差別的に取り扱うことが禁止されました。差別的取扱いを行わないよう、現状のパートタイム労働者の実態を把握・分析して早急に見直しましょう。

④ 正社員登用制度を導入しましょう
正社員への転換を推進するため、次のような措置を講ずることが義務化されました。

●正社員を募集する場合、その募集内容を既に雇用しているパートタイム労働者に対して周知する。
●正社員のポストを社内公募する場合、既に雇用しているパートタイム労働者にも応募する機会を与える。
●パートタイム労働者が正社員へ転換するための試験制度を設けるなど、転換制度を導入する。

⑤苦情の申し出に対応しましょう
今回の改正で事業主が措置を講じることが義務化された事項について、パートタイム労働者より苦情の申出を受けた時は、自主的に解決するよう努力義務が課されました。

<<対象となる苦情>>

●労働条件の文書交付等●待遇の決定についての説明●待遇の差別的取り扱い禁止●職務の遂行に必要な教育訓練●福利厚生施設●正社員への転換を推進するための措置

これらの苦情を解決するために、会社を代表する者と従業員を代表する者とで構成する苦情処理機関を設けることをお勧めします。男女雇用機会均等法でもこの苦情処理機関について定義されていますから、これらの苦情を合わせて解決する機関として設置・運営すると効率的ではないでしょうか。

◆◇◆ 事業主・総務担当の方は規定や就業規則の見直しを!! ◆◇◆
今回の改正パートタイム労働法において、「契約期間」が正社員とパートタイム労働者を区分する要件の一つになっています。「期間の定めのある契約」であっても、実質的に「期間の定めの無い契約」と認められると正社員と同視され、大幅な待遇面の見直しが求められます。契約更新を行う場合には再度、「契約期間」「更新及び雇い止めに関する基準」などを明確にしておき、自動更新は避け通知書を再度発行するという基本的な対応が重要になってくるでしょう。事業主や総務担当の方は現状の人事労務管理を早急に見直し、正社員登用制度など規定化し運用していきましょう。

また就業規則に関しても、正社員用は整備されていても、パートタイム用就業規則は未整備という企業は多いのでないでしょうか。ほとんどの就業規則はパートタイム労働者を対象外として取り扱っていますから、これでは対応しきれません。就業形態が複雑化、多様化する中で、正社員とパートタイム労働者との違いを明確に区分することが求められます。

パートタイム労働者を多く雇用し活用されている企業は少なくありません。だからこそ、パートタイム労働者の就業に関して明確なルールを策定し周知徹底しておく必要があるのです。パートタイム労働者の働く意欲を低下させないためにも、この機会に改正法に合わせて就業規則の見直しや正社員登用制度規定を策定されることをお勧めします。

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2007年12月27日 
退職予定者に対する賞与

例年今頃の時期(12月)に冬期賞与を支給される会社は多いのではないでしょうか。
その際に、「辞める予定の従業員に賞与を支払うのがもったいない」と思う時は無いでしょうか?実際に「賞与を待って従業員が退職」というパターンを経験されている事業主様は少なくないと思います。
もはや退職のタイミングを「賞与を待って退職」という考え方が世間一般には浸透している感じもあり、退職する従業員と事業主との間で「払う・払わない」のトラブルになるケースがあります。
そこで、こういった場合の賞与の法的扱いについて以下で検討していきます。


◆◇◆ 賞与の法的性質 ◆◇◆
賞与は、就業規則や労働協約で支給基準を定めていれば、労働基準法上の賃金にあたります。つまり、賞与は法律上当然に使用者が支払義務を負うものではなく、就業規則などにより支給基準が定められている場合や、確立した労使慣行によりこれと同様の合意が成立していると認められる場合(就業規則などに明記はされていなくても、実際は決まった時期に賞与が支払われている状態が何年も続いている場合など)に、労働契約上支払い義務を負うものです。
 例えば、パートタイマーなどの非正規従業員の場合は賞与が支払われないことも少なくないと思われますが、それは労働契約において、正規従業員にしか支給しない旨が定められているからです。

◆◇◆ 退職者に対する扱い ◆◇◆
それでは、賞与計算の対象期間の全部または一部を勤務したにもかかわらず、支給日前に退職した者に賞与を支給しないという取扱いはどうでしょうか。
[例]
夏期賞与の計算(評価)期間 10月1日~3月31日
冬期賞与の計算(評価)期間 4月1日~9月30日
 賞与の支給日 夏期を6月 、冬期は12月
           ↓ 上記条件にて…
 4月1日に入社し、11月25日に退社した場合。
(冬期賞与の計算(評価)期間は全期間在籍していたが、支給日である12月には在籍していない状態)

賞与が労働基準法上の賃金だとすれば、労基法第24条の賃金全額払いの原則(※)に反するかどうかの部分での問題が出てきますが、判例では支給日在籍条項の定め(「支給日に在籍していなければ賞与は支給しない」旨の定め)を合理的なものと認めているケースが多く(大和銀行事件 最高裁一小判 昭57.10.7)、支給日に労働者が退職している場合には賞与を支給しなくても問題は無いと解する判断が一般的な傾向です。
 ただし、こうした規定は労働者が退職の日を自由に選択できる自己都合退職者についてのみ有効とする説もあります。たとえば、定年や人員整理(リストラ)等の会社都合による退職の場合には、労働者は退職日を選択することができず、不利益を被ることがあるからです。したがって、支給日在籍条項は、労働者の自己都合退職の場合だけに合理性がある(問題が無い)と考えるのが安全です。
 また、支給日在籍要件でいう「支給日」とは、賞与が支給される予定の日であり、現実の支給が遅れたり、あるいは使用者が故意に支給を遅らせたりした場合には、仮に現実の支給日前に退職したとしても、支給予定日に在籍していれば賞与を受け取る権利はあるものと考えられます(須賀工業事件 東京地裁 平12.2.14)。

 ※賃金全額払いの原則 
賃金は,その全額を支払わなければならない。ただし,法令に別段の定めがある場合(所得税の源泉徴収,社会保険料の控除など)や,労働者の過半数を代表する労働組合又は代表者との書面による協定がある場合には,賃金の一部を控除して支払うことができる、という決まり。

◆◇◆ 事前に押さえておくべき点 ◆◇◆
まずは就業規則に「支給日在籍条項」があるかの確認が必要です。もしそういった条項が無いようなら、早急に手を打たないと労働者とのトラブルの元になる可能性があります。

賃金問題を含む労務問題は基本的にトラブルにまで発展すれば会社側が負けるケースが大半です。そうならないうちに事前に就業規則の見直しはもちろんのこと、社内における日ごろからのコミュニケーションの見直しなどの対応策を打ち出しておきましょう。

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2007年11月29日 
H19年 年末調整に関する改正点

そろそろ年末調整の時期がやってきました。今回は年末調整に関する改正点について取り上げます。
◆定率減税の廃止・所得税の税率の改正
◆地震保険料控除の創設(損害保険料控除の改組)

◆◇◆ 定率減税の廃止・所得税の税率の改正 ◆◇◆
①定率減税の廃止
定率減税は景気対策のために暫定的な税負担軽減措置として平成11年に導入されましたが、経済状況の改善等を踏まえて今年分から完全に廃止されます。

②所得税の税率改正
国税(所得税)から地方税(住民税)への税源移譲が行われたこと等を踏まえ、今年分の所得税から税率構造が5%~40%の6段階に変更されています。
今年は定率減税廃止に加えて税源移譲後初めての年末調整となるため、これまで還付額が大きかった方にとっては、予想外の年末調整結果になるかもしれません。社員様に対する事前アナウンスを徹底しておくことをお勧めいたします。


◆◇◆ 地震保険料控除の創設(損害保険料控除の改組) ◆◇◆

昨年までの損害保険料控除制度が改組され、地震保険料控除とされました。従来の損害保険料控除の最高が15,000円であったことに対し、この地震保険料控除は最高50,000円となっています。控除できる保険料額が増えたこともありますので、社内での事前案内を行い、各保険会社等が発行する証明書の提出漏れがないように注意して下さい。

※この改正には経過措置が設けられており、以下の一定の要件を満たした長期損害保険契約等に係る損害保険料については、旧長期損害保険料として地震保険料控除の対象とすることができます。

※[長期損害保険料経過措置の一定の要件](次のすべてに該当するものに限る)
①平成18年12月31日以前に締結した契約(保険期間または共済期間の始期が平成19年1月1日以後のものは除きます)で保険期間又は共済期間の満了後に満期返戻金を支払う旨の特約のある契約その他一定の契約であること
②保険期間または共済期間が10年以上の契約
③平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないもの

また、長期損害保険契約等と地震保険契約を別々で行っている場合は、それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高5万円)が地震保険料控除の額となります。ただし、一つの契約が地震保険料と旧長期損害保険料のどちらにも該当する場合には、どちらか一方を適用することになっています。「長期損害保険料は廃止された」と取り扱うのではなく、添付書類等で注意深く判断して下さい。

◆◇◆ 税源移譲に伴う住宅ローン控除の取り扱い ◆◇◆

一般的に住宅ローン控除の適用を受ける方は、年末調整の際に所得税の還付となる方が多く、徴収済税額の全額が還付されることも少なくありません。今年はこのような全額還付の方については特に注意が必要です。所得税から住民税への税源移譲に伴い、一般的には徴収している所得税額が少なくなっており、還付額も例年に比べて小さくなっているからです。本来受けられるべき住宅ローン減税額が減少する事例が発生する可能性があります。このため住民税に特例措置が設けられ、本人の申告により住民税が軽減されます。この措置は、対象者本人が市区町村長に対し「市町村民税及び道府県民税住宅借入金等特別税額控除申告書」を各年度の提出期限まで(平成20年は3月17日(月)まで)に提出して適用を受けることができます。これは所得税の確定申告書を提出される場合には、管轄の税務署長を経由して提出することができます。詳細は、居住地の市区町村へ確認して下さい。なお、この制度は平成18年末までに入居した人に限って適用されることとなっていますのでご注意ください。

以上のように、今年の年末調整は事前の社内アナウンスが大切です。総務担当の方は、住宅借入金等特別控除適用者の最終の年税額がゼロになっている場合には特に注意して案内をするようして下さい。

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2007年10月26日 
大丈夫ですか!? 割増賃金!!

 近年、労働基準行政における労働時間問題への積極的な取組みが目立っており、特に「サービス残業」対策には力を入れています。このような背景を受け是正勧告(※)において、「法定に満たない割増賃金の支払い・割増賃金の未払い」を指摘してくるケースが増加しています。
※是正勧告とは、一言でいいますと、行政指導です。行政指導だからといって非協力であったりし続けると、労働基準法の違反の罪に問われる場合があります。

◆◇◆割増賃金とは◆◇◆
使用者は、労働者に法定労働時間又は変形労働時間制による労働時間を超える時間外労働、又は深夜労働(午後10時から翌日午前5時までの時間帯の労働)を行わせた場合には、通常の賃金額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
また、法定休日(1週間で1日、又は4週間で4日の休日)に労働させた場合には、通常の賃金額の3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
【注意点】
・割増賃金の計算において、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金は、算定の基礎から除くことが出来ます。
・管理監督者等(役職名等の判断ではなく、実態による判断となりますので注意が必要です)に関しては、労働基準法の労働時間・休憩及び休日の規定の適用が除外されており、時間外・休日労働分の割増賃金を支払う必要は法律上ありません。(深夜労働に関しては、支払う必要があります。)

◆◇◆割増賃金の計算方法◆◇◆
1時間当たりの割増賃金(割増賃金単価)の計算式を以下に示します。
(1)時間給の場合
割増賃金単価=時間給×1.25(休日労働の場合1.35)

(2)日給の場合
 割増賃金単価=日給/1日の所定労働時間数×1.25(休日労働の場合1.35)

(3)月給の場合
割増賃金単価=月給額/1ヶ月の所定労働時間数(月によって異なる場合は1年間における1か月平均所定労働時間数)×1.25(休日労働の場合1.35)
1ヵ月平均所定労働時間数の算出方法
(365日-所定休日)×1日の所定労働時間数÷12=1ヶ月平均所定労働時間数
うるう年は366日

(4)時間給又は日給に月額の手当がつく場合は、それぞれの1時間当たりの割増賃金額を合算した額となります。
(例)基本給:日給制 皆勤手当:月給制の場合
基本給/1日の所定労働時間数+皆勤手当/1か月平均所定労働時間数×1.25(休日労働の場合1.35)

(5)年俸制による場合
年俸制であっても法定労働時間を超えた分に対しては割増賃金の支払いが必要となります。計算方法に関しては月給制の場合と同様ですが、注意していただく事項として、「年俸の16分の1を月例給与として支給し、16分の4を2分割して6月と12月に賞与として支給する」といった取り決めをする場合がありますが、この場合あらかじめ支給額が確定しているため年俸の支給総額を基礎として割増賃金を支払う必要があります。

◆◇◆固定残業代としての支給◆◇◆
 事業所によっては定額・固定性の残業手当支給といった賃金体系を採用しておられるものと思います。その場合の注意点としては、①賃金に含まれている残業代部分を明確にし、それが何時間分の残業時間に相当するのか明示すること。②実際の残業が、固定残業分を超える場合は、差額分を支払うことです。
(計算例)固定残業代として50,000円支給、何時間分に相当するか?
条件:基本給 300,000円
  :手当 100,000円(内50,000円を固定残業代とする)
  :1か月平均所定労働時間数 160時間
①(基本給300,000円+手当50,000円)÷160時間=@2,187.5
固定残業手当に含まれる時間外労働時間は
固定残業代50,000円÷(@2,187.5×1.25)=18.2時間分に相当
この場合、実際の残業時間が18.2時間を超えた場合、超過分は別途支払う必要があります。

◆◇◆まとめ◆◇◆
今回の計算方法により割増賃金を再計算した結果と現在支給している残業代を比較して、下回ってしまっている場合は差額分を支払う必要があります。この差額残業代に対して是正勧告を受けた場合、過去に遡り不払い分の支払いを要求され、一時に数百万単位の支出を覚悟しなければなりません。このようなリスクを防ぐ意味でも、もう一度適正な残業代の計算を行うと共に根本的な労務管理の見直しが必要なのではないでしょうか。

投稿者:人事部 | カテゴリ: |
2007年10月03日 
雇用保険法・厚生年金保険料率が変わります!

<<雇用保険法の一部が改正されます>>
○ 雇用保険の受給資格要件が変わります。(平成19年10月1日から)
○ 教育訓練給付の要件・内容が変わります。(平成19年10月1日から)
○ 育児休業給付の給付率が50%に上がります。(平成19年3月31日以降に職場復帰された方から)
上記のうち、教育訓練給付・育児休業給付に関しての詳細は前回の情報誌の通りとなっております。
今回は、基本手当(失業給付)の受給資格要件の変更点に関して説明させていただきます。

◆◇◆基本手当の受給資格要件の改正◆◇◆
○ 現行の被保険者区分は「短時間労働被保険者(週所定労働時間20時間以上~30時間未満)」と「短時間労働被保険者以外の被保険者(一般被保険者)」に分かれていますが、就業形態の多様化が進んでいることを踏まえ、改正後はこの2つの区分が一本化されます。
○ 上記被保険者区分の一本化に合わせて、受給資格要件も一本化されます。基本手当を受給するためには、離職日以前に一定の被保険者期間が必要となりますが、今回の改正において、被保険者区分ごとに異なっていたこの受給資格要件の期間が統一されることになりました。要点としては、以下の3点となっています。
①被保険者期間の統一
現行の一般被保険者については、離職日以前1年間に被保険者期間を通算して6ヶ月以上必要とされていますが、この要件が、離職日以前「2年間」に通算して「12ヶ月以上」に変更されます。
②賃金支払基礎日数の統一
上記の被保険者期間を計算する際、現行の短時間労働被保険者については、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上の月を1/2ヶ月として計算していました。また、現行の一般被保険者の場合は、14日以上を1ヶ月と計算していました。改正後は、「11日」以上を「1ヶ月」として計算することに統一されます。
③特定受給資格者に対する要件緩和
以上の要件の変更は、短期間での安易な受給の繰り返しを防ぐため、自己都合による退職者に限っての要件変更であり、倒産・解雇等の理由により離職した特定受給資格者については、被保険者期間については「6ヶ月以上」、賃金支払基礎日数については「11日以上」必要となります。
特定受給資格者の詳しい条件につきましては、ⅰ「倒産」等により離職した者・ⅱ「解雇」等により離職した者・ⅲ被保険者期間が6ヶ月(離職前1年間)以上12ヶ月(離職前2年間)未満であって、「正当な理由のある」自己都合により離職した者といった三つの区分に分かれています。なお、「正当な理由のある」自己都合とは、以下の通りです。
(1) 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
(2) 妊娠、出産、育児等により離職し、受給期間延長措置を受けた者
(3) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した場合
(4) 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した場合
(5) 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
・結婚に伴う住所の変更
・育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
・事業所の通勤困難な地への移転
・自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
・鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
・事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
・配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
など

以上、今回の改正は自己都合による退職者には要件は厳しくなり、会社都合等による退職者にはやや緩くなったと言えるでしょう。また、今回の改正をうけ、実務的にも以下の点で影響が出てくるものと思われます。
①基本手当受給までの期間延長
今回の改正により、自己都合による離職に関しては、通算して原則12ヶ月以上被保険者期間が求められるようになります。複数の離職による基本手当の受給資格を判断するために、辞めてから1年以上も経っている退職者から離職票の作成を依頼される可能性もありますので、退職時には受給資格を満たさない被保険者の場合でも、原則、離職証明書を作成しておかれたほうが良いかと思います。
②離職理由による労使間の争議の増加
上記6ヶ月以上12ヶ月未満という比較的勤務期間の短い被保険者の離職については、離職理由により基本手当の受給の可否が分かれるので、離職理由に関する労使間の意見の食い違いや、離職理由を「解雇扱いにしてほしい」などといったケースも出てくるのではないかと思われます。
なお上記改正後の要件の適用は、平成19年10月1日以降の離職者が対象となりますので、それ以前の9月30日までの離職者は、改正前の条件で受給資格が得られることになります。

<<厚生年金保険料率が改定されます>>
◆◇◆平成19年9月分からの厚生年金保険料率の改定◆◇◆
  今回、改定された厚生年金保険料率は「平成19年9月分(同年10月納付分)から平成20年8月分(同年9月納付分)まで」の保険料を計算する基礎となります。
 保険料率の改正に伴い、被保険者負担、事業主負担ともに増加いたします。
【厚生年金保険料シュミレーション】
標準報酬月額300,000円の被保険者の場合
現行(14.642%) 9月以降(14.996%) 増加額(0.354%)
折半額 21,963円 22,494円 531円/月
全額額 43,926円 44,988円 1,062円/月

被保険者一人当たりの保険料負担の増加額に関して
月額ベースでは44,988円-43,926円=1,062円(折半負担額531円)
年額換算ですと1,062円×12=12,744円(折半負担額6,372円)の増加となります。


平成16年の法改正により、厚生年金保険料率は平成29年9月まで、毎年、増加改定されることになっています。保険料率は0.354%ずつ毎年引き上げられ、平成29年には18.3%まで引き上げられることが決定しています。

◆◇◆まとめ◆◇◆
前回に引き続き、雇用保険の改正点と厚生年金保険料率の改正をお伝えいたしました。今回の厚生年金保険料率の改正におきまして、給与より控除する社会保険料率の変更を行っていただく必要がございます。各事業所におきまして、控除のタイミング(当月・翌月控除)は異なりますが、給与計算を行われる前に一度確認してみるのもいいかと思います。
またこのような法改正は今後も行われます。改正情報が入り次第、随時、情報誌にてお伝えいたします。

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