ここ最近、新聞紙上をにぎわしている「管理監督者」。
私が担当する事業所さんからも「課長以上は『管理職』なので残業代は支給していません。」といった話をたびたび伺った経験がございます。
「管理監督者は、労働基準法に定める(1)労働時間、(2)休憩、(3)休日に関する規定の“適用除外者”である」旨が、同法41条2号に定められています。
はたして「管理職」としての扱いで処理することは可能なのでしょうか。
◆◇◆管理監督者とは◆◇◆
通達上の解釈として「管理監督者」は、一般的には、部長、工場長、など労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるもののことで、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである、とされています。
では実態に即した判断基準はどういったものになるのでしょうか。
◆◇◆管理監督者の判断基準◆◇◆
①経営者と一体の立場で仕事をしていること
経営及び従業員について管理的立場にある者であって、一般労働者を経営者に代わって指揮監督する者、又は同等のスタッフ職のものである。
②勤務時間について厳格な制限を受けていないこと
労働時間・休暇・休日について厳格な拘束を受けず、自己判断によって出社、退社、休憩を取ることができる者。
③その地位にふさわしい待遇がされていること
基本給や役職手当、賞与の支給率等において、その地位にふさわしく、他の一般労働者と比較して高い処遇がされている。割増賃金が支払われる労働者と比べて相当程度の格差がある。
◆◇◆管理監督者を争点にした裁判例◆◇◆
実際の判例においての具体的基準とはどういったものでしょうか。
判例① 事件名 レストラン・ビュッフェ事件(昭和61.7.30大阪地判)
地位 店長
・店長としてコック等の従業員6~7名を統制し、採用にも一部関与し、売上金も管理等をまかせられ、店長手当(2~3万円)の支給を受けていたがスタッフの労働条件は会社が決定していた。
・店舗の営業時間中は完全拘束され、出退勤の自由は無かった。
・仕事内容が店長職以外にコック、ウェイター、レジ係等全般に及んでいた。
⇒管理監督者ではない。
判例② 事件名 サンド事件(昭和58.7.12大阪地判)
地位 課長
・課長として決定権を有する工場長を補佐するが、重要な事項の決定権は無く、役職手当としての支給はあるが従来の時間外手当より少なかった。
・タイムカードにより勤怠管理を受け、時間外勤務には工場長代理の許可を要していた。
⇒管理監督者ではない。
判例③ 事件名 医療法人徳州会事件
地位 人事課長
・看護士の募集業務の全権を任され、責任者として自己判断において採用計画、配置転換などの行動計画を実施する権限があった。
・課長職として責任手当、特別調整手当が支給されていた。
・タイムカードを打刻してはいたが、実際の労働時間は自由裁量に任されていた。
⇒管理監督者である。
管理監督者の取り扱いについては立法当時、管理職はあまり働かないことを想定していたようです。「重役出勤」という言葉があったことを、思い出してもらえるとイメージがつかめると思います。しかし、社会情勢も変化し現状として、管理監督者の取り扱いが認められるのは、裁判例からするとごく限られた者についてのみです。ですので、実態に即した形で、「管理職」への扱いを見直してみてはいかがでしょう。
◆◇◆深夜割増・年次有給休暇は必要です◆◇◆
管理監督者の労働時間管理が困難であるとの理由から、実際、深夜割増賃金を支払っている事業所は少ないと思います。しかし、深夜割増賃金(22時~5時)の支払いは必要です。実務上の対応としては、役職手当等の中に「深夜割増手当(○○時間分)を含む」旨の規定を就業規則上に盛り込むことをお勧めいたします。この場合、○○時間相当分の深夜割増賃金を支払わなくてもよいという扱いが可能です。
また年次有給休暇の規定も適用されますので、この点も注意してください。






