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2007年12月27日
退職予定者に対する賞与

例年今頃の時期(12月)に冬期賞与を支給される会社は多いのではないでしょうか。
その際に、「辞める予定の従業員に賞与を支払うのがもったいない」と思う時は無いでしょうか?実際に「賞与を待って従業員が退職」というパターンを経験されている事業主様は少なくないと思います。
もはや退職のタイミングを「賞与を待って退職」という考え方が世間一般には浸透している感じもあり、退職する従業員と事業主との間で「払う・払わない」のトラブルになるケースがあります。
そこで、こういった場合の賞与の法的扱いについて以下で検討していきます。


◆◇◆ 賞与の法的性質 ◆◇◆
賞与は、就業規則や労働協約で支給基準を定めていれば、労働基準法上の賃金にあたります。つまり、賞与は法律上当然に使用者が支払義務を負うものではなく、就業規則などにより支給基準が定められている場合や、確立した労使慣行によりこれと同様の合意が成立していると認められる場合(就業規則などに明記はされていなくても、実際は決まった時期に賞与が支払われている状態が何年も続いている場合など)に、労働契約上支払い義務を負うものです。
 例えば、パートタイマーなどの非正規従業員の場合は賞与が支払われないことも少なくないと思われますが、それは労働契約において、正規従業員にしか支給しない旨が定められているからです。

◆◇◆ 退職者に対する扱い ◆◇◆
それでは、賞与計算の対象期間の全部または一部を勤務したにもかかわらず、支給日前に退職した者に賞与を支給しないという取扱いはどうでしょうか。
[例]
夏期賞与の計算(評価)期間 10月1日~3月31日
冬期賞与の計算(評価)期間 4月1日~9月30日
 賞与の支給日 夏期を6月 、冬期は12月
           ↓ 上記条件にて…
 4月1日に入社し、11月25日に退社した場合。
(冬期賞与の計算(評価)期間は全期間在籍していたが、支給日である12月には在籍していない状態)

賞与が労働基準法上の賃金だとすれば、労基法第24条の賃金全額払いの原則(※)に反するかどうかの部分での問題が出てきますが、判例では支給日在籍条項の定め(「支給日に在籍していなければ賞与は支給しない」旨の定め)を合理的なものと認めているケースが多く(大和銀行事件 最高裁一小判 昭57.10.7)、支給日に労働者が退職している場合には賞与を支給しなくても問題は無いと解する判断が一般的な傾向です。
 ただし、こうした規定は労働者が退職の日を自由に選択できる自己都合退職者についてのみ有効とする説もあります。たとえば、定年や人員整理(リストラ)等の会社都合による退職の場合には、労働者は退職日を選択することができず、不利益を被ることがあるからです。したがって、支給日在籍条項は、労働者の自己都合退職の場合だけに合理性がある(問題が無い)と考えるのが安全です。
 また、支給日在籍要件でいう「支給日」とは、賞与が支給される予定の日であり、現実の支給が遅れたり、あるいは使用者が故意に支給を遅らせたりした場合には、仮に現実の支給日前に退職したとしても、支給予定日に在籍していれば賞与を受け取る権利はあるものと考えられます(須賀工業事件 東京地裁 平12.2.14)。

 ※賃金全額払いの原則 
賃金は,その全額を支払わなければならない。ただし,法令に別段の定めがある場合(所得税の源泉徴収,社会保険料の控除など)や,労働者の過半数を代表する労働組合又は代表者との書面による協定がある場合には,賃金の一部を控除して支払うことができる、という決まり。

◆◇◆ 事前に押さえておくべき点 ◆◇◆
まずは就業規則に「支給日在籍条項」があるかの確認が必要です。もしそういった条項が無いようなら、早急に手を打たないと労働者とのトラブルの元になる可能性があります。

賃金問題を含む労務問題は基本的にトラブルにまで発展すれば会社側が負けるケースが大半です。そうならないうちに事前に就業規則の見直しはもちろんのこと、社内における日ごろからのコミュニケーションの見直しなどの対応策を打ち出しておきましょう。

投稿者:人事部 | カテゴリ: