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人事・労務の手引き

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2007年10月26日 
大丈夫ですか!? 割増賃金!!

 近年、労働基準行政における労働時間問題への積極的な取組みが目立っており、特に「サービス残業」対策には力を入れています。このような背景を受け是正勧告(※)において、「法定に満たない割増賃金の支払い・割増賃金の未払い」を指摘してくるケースが増加しています。
※是正勧告とは、一言でいいますと、行政指導です。行政指導だからといって非協力であったりし続けると、労働基準法の違反の罪に問われる場合があります。

◆◇◆割増賃金とは◆◇◆
使用者は、労働者に法定労働時間又は変形労働時間制による労働時間を超える時間外労働、又は深夜労働(午後10時から翌日午前5時までの時間帯の労働)を行わせた場合には、通常の賃金額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
また、法定休日(1週間で1日、又は4週間で4日の休日)に労働させた場合には、通常の賃金額の3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
【注意点】
・割増賃金の計算において、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金は、算定の基礎から除くことが出来ます。
・管理監督者等(役職名等の判断ではなく、実態による判断となりますので注意が必要です)に関しては、労働基準法の労働時間・休憩及び休日の規定の適用が除外されており、時間外・休日労働分の割増賃金を支払う必要は法律上ありません。(深夜労働に関しては、支払う必要があります。)

◆◇◆割増賃金の計算方法◆◇◆
1時間当たりの割増賃金(割増賃金単価)の計算式を以下に示します。
(1)時間給の場合
割増賃金単価=時間給×1.25(休日労働の場合1.35)

(2)日給の場合
 割増賃金単価=日給/1日の所定労働時間数×1.25(休日労働の場合1.35)

(3)月給の場合
割増賃金単価=月給額/1ヶ月の所定労働時間数(月によって異なる場合は1年間における1か月平均所定労働時間数)×1.25(休日労働の場合1.35)
1ヵ月平均所定労働時間数の算出方法
(365日-所定休日)×1日の所定労働時間数÷12=1ヶ月平均所定労働時間数
うるう年は366日

(4)時間給又は日給に月額の手当がつく場合は、それぞれの1時間当たりの割増賃金額を合算した額となります。
(例)基本給:日給制 皆勤手当:月給制の場合
基本給/1日の所定労働時間数+皆勤手当/1か月平均所定労働時間数×1.25(休日労働の場合1.35)

(5)年俸制による場合
年俸制であっても法定労働時間を超えた分に対しては割増賃金の支払いが必要となります。計算方法に関しては月給制の場合と同様ですが、注意していただく事項として、「年俸の16分の1を月例給与として支給し、16分の4を2分割して6月と12月に賞与として支給する」といった取り決めをする場合がありますが、この場合あらかじめ支給額が確定しているため年俸の支給総額を基礎として割増賃金を支払う必要があります。

◆◇◆固定残業代としての支給◆◇◆
 事業所によっては定額・固定性の残業手当支給といった賃金体系を採用しておられるものと思います。その場合の注意点としては、①賃金に含まれている残業代部分を明確にし、それが何時間分の残業時間に相当するのか明示すること。②実際の残業が、固定残業分を超える場合は、差額分を支払うことです。
(計算例)固定残業代として50,000円支給、何時間分に相当するか?
条件:基本給 300,000円
  :手当 100,000円(内50,000円を固定残業代とする)
  :1か月平均所定労働時間数 160時間
①(基本給300,000円+手当50,000円)÷160時間=@2,187.5
固定残業手当に含まれる時間外労働時間は
固定残業代50,000円÷(@2,187.5×1.25)=18.2時間分に相当
この場合、実際の残業時間が18.2時間を超えた場合、超過分は別途支払う必要があります。

◆◇◆まとめ◆◇◆
今回の計算方法により割増賃金を再計算した結果と現在支給している残業代を比較して、下回ってしまっている場合は差額分を支払う必要があります。この差額残業代に対して是正勧告を受けた場合、過去に遡り不払い分の支払いを要求され、一時に数百万単位の支出を覚悟しなければなりません。このようなリスクを防ぐ意味でも、もう一度適正な残業代の計算を行うと共に根本的な労務管理の見直しが必要なのではないでしょうか。

投稿者:人事部 | カテゴリ: |
2007年10月03日 
雇用保険法・厚生年金保険料率が変わります!

<<雇用保険法の一部が改正されます>>
○ 雇用保険の受給資格要件が変わります。(平成19年10月1日から)
○ 教育訓練給付の要件・内容が変わります。(平成19年10月1日から)
○ 育児休業給付の給付率が50%に上がります。(平成19年3月31日以降に職場復帰された方から)
上記のうち、教育訓練給付・育児休業給付に関しての詳細は前回の情報誌の通りとなっております。
今回は、基本手当(失業給付)の受給資格要件の変更点に関して説明させていただきます。

◆◇◆基本手当の受給資格要件の改正◆◇◆
○ 現行の被保険者区分は「短時間労働被保険者(週所定労働時間20時間以上~30時間未満)」と「短時間労働被保険者以外の被保険者(一般被保険者)」に分かれていますが、就業形態の多様化が進んでいることを踏まえ、改正後はこの2つの区分が一本化されます。
○ 上記被保険者区分の一本化に合わせて、受給資格要件も一本化されます。基本手当を受給するためには、離職日以前に一定の被保険者期間が必要となりますが、今回の改正において、被保険者区分ごとに異なっていたこの受給資格要件の期間が統一されることになりました。要点としては、以下の3点となっています。
①被保険者期間の統一
現行の一般被保険者については、離職日以前1年間に被保険者期間を通算して6ヶ月以上必要とされていますが、この要件が、離職日以前「2年間」に通算して「12ヶ月以上」に変更されます。
②賃金支払基礎日数の統一
上記の被保険者期間を計算する際、現行の短時間労働被保険者については、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上の月を1/2ヶ月として計算していました。また、現行の一般被保険者の場合は、14日以上を1ヶ月と計算していました。改正後は、「11日」以上を「1ヶ月」として計算することに統一されます。
③特定受給資格者に対する要件緩和
以上の要件の変更は、短期間での安易な受給の繰り返しを防ぐため、自己都合による退職者に限っての要件変更であり、倒産・解雇等の理由により離職した特定受給資格者については、被保険者期間については「6ヶ月以上」、賃金支払基礎日数については「11日以上」必要となります。
特定受給資格者の詳しい条件につきましては、ⅰ「倒産」等により離職した者・ⅱ「解雇」等により離職した者・ⅲ被保険者期間が6ヶ月(離職前1年間)以上12ヶ月(離職前2年間)未満であって、「正当な理由のある」自己都合により離職した者といった三つの区分に分かれています。なお、「正当な理由のある」自己都合とは、以下の通りです。
(1) 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
(2) 妊娠、出産、育児等により離職し、受給期間延長措置を受けた者
(3) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した場合
(4) 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した場合
(5) 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
・結婚に伴う住所の変更
・育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
・事業所の通勤困難な地への移転
・自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
・鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
・事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
・配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
など

以上、今回の改正は自己都合による退職者には要件は厳しくなり、会社都合等による退職者にはやや緩くなったと言えるでしょう。また、今回の改正をうけ、実務的にも以下の点で影響が出てくるものと思われます。
①基本手当受給までの期間延長
今回の改正により、自己都合による離職に関しては、通算して原則12ヶ月以上被保険者期間が求められるようになります。複数の離職による基本手当の受給資格を判断するために、辞めてから1年以上も経っている退職者から離職票の作成を依頼される可能性もありますので、退職時には受給資格を満たさない被保険者の場合でも、原則、離職証明書を作成しておかれたほうが良いかと思います。
②離職理由による労使間の争議の増加
上記6ヶ月以上12ヶ月未満という比較的勤務期間の短い被保険者の離職については、離職理由により基本手当の受給の可否が分かれるので、離職理由に関する労使間の意見の食い違いや、離職理由を「解雇扱いにしてほしい」などといったケースも出てくるのではないかと思われます。
なお上記改正後の要件の適用は、平成19年10月1日以降の離職者が対象となりますので、それ以前の9月30日までの離職者は、改正前の条件で受給資格が得られることになります。

<<厚生年金保険料率が改定されます>>
◆◇◆平成19年9月分からの厚生年金保険料率の改定◆◇◆
  今回、改定された厚生年金保険料率は「平成19年9月分(同年10月納付分)から平成20年8月分(同年9月納付分)まで」の保険料を計算する基礎となります。
 保険料率の改正に伴い、被保険者負担、事業主負担ともに増加いたします。
【厚生年金保険料シュミレーション】
標準報酬月額300,000円の被保険者の場合
現行(14.642%) 9月以降(14.996%) 増加額(0.354%)
折半額 21,963円 22,494円 531円/月
全額額 43,926円 44,988円 1,062円/月

被保険者一人当たりの保険料負担の増加額に関して
月額ベースでは44,988円-43,926円=1,062円(折半負担額531円)
年額換算ですと1,062円×12=12,744円(折半負担額6,372円)の増加となります。


平成16年の法改正により、厚生年金保険料率は平成29年9月まで、毎年、増加改定されることになっています。保険料率は0.354%ずつ毎年引き上げられ、平成29年には18.3%まで引き上げられることが決定しています。

◆◇◆まとめ◆◇◆
前回に引き続き、雇用保険の改正点と厚生年金保険料率の改正をお伝えいたしました。今回の厚生年金保険料率の改正におきまして、給与より控除する社会保険料率の変更を行っていただく必要がございます。各事業所におきまして、控除のタイミング(当月・翌月控除)は異なりますが、給与計算を行われる前に一度確認してみるのもいいかと思います。
またこのような法改正は今後も行われます。改正情報が入り次第、随時、情報誌にてお伝えいたします。

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