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人事・労務の手引き

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2006年09月11日 
メンタルヘルスケアの必要性

◆◇◆職場におけるストレス等の実情◆◇◆
メンタルヘルスケアとは日本語に訳すと「精神的健康管理」であり、企業でいうなら従業員のストレス等に対しての管理を指します。メンタルヘルスケアが近年盛んに騒がれている背景としては、職場を取り巻くストレス等の問題の深刻化が挙げられます。下記の表は2001年に厚生労働省が発表した「労働者健康状況調査」をグラフとして表示したものですが、人間関係・仕事の量・仕事の質がストレスの原因となるものの上位3位を占めています。これらの項目は日々必ず発生する問題であり、多大なストレスの発生は深刻な問題の引き金となりうる可能性があります。

◆◇◆こころの健康づくり◆◇◆
厚生労働省発表の「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」によると、事業場におけるメンタルヘルスケアの具体的な方法について、以下の4つを挙げています。

ⅰ)労働者自身による「セルフケア」
・事業者は、労働者に対してセルフケアに関する教育研修、情報提供等を行うこと。
・事業者は、労働者が自ら相談を受けられるよう必要な環境整備を行うこと。

ⅱ)管理監督者による「ラインによるケア」
・管理監督者は、作業環境、作業方法、労働時間等の 職場環境等の具体的問題点を把握し、改善を図ること。
・管理監督者は、個々の労働者に過度な長時間労働、過重な疲労、心理的負荷、責任等が生じないようにする等の配慮を行うこと。
・管理監督者は、 日常的に、労働者からの自主的な相談に対応するよう努めること。
・事業者は、管理監督者に対する心の健康に関する教育研修等を行うこと。

ⅲ)事業場内の健康管理担当者による「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」
・事業場内産業保健スタッフ等は、 職場環境等について評価し、管理監督者と協力してその改善を図るよう努めること。
・産業保健スタッフ等は、労働者のストレスや心の健康問題を把握し、保健指導、健康相談等を行うこと。 また、専門的な治療を要する労働者への適切な事業場外資源を紹介し、また、心の健康問題を有する労働者の職場復帰及び職場適応を指導及び支援すること。
・事業者は、事業場内産業保健スタッフ等に対して、教育研修、知識修得等の機会の提供を図ること。

ⅳ)事業場外の専門家による「事業場外資源によるケア」
・事業者は必要に応じ、 それぞれの役割に応じた事業場外資源を活用することが望ましい。

上記のことから読み取れるように、労働者が自ら進んで相談することができる環境を提供することが事業主にとっては必要です。

◆◇◆具体的な方法とは◆◇◆
精神的な疾患について、上記ⅰ)とⅱ)を使ったメンタルヘルスケアの方法を例として以下に挙げます。

①精神疾患についての正しい知識や予兆があったらすぐ相談するようにするなどの指導を広報誌やビデオなどで行い、精神疾患についての偏見をなくし、発症してもかくさず速やかに治療にはいることができるような状態にしておきます。

②上司や同僚が、部下の様子がおかしいと感じたらすぐに事業内産業保健スタッフ等へ報告、相談を行います。決して発症者や相談を受けたもの1人で抱えこませないようにします。1人で抱え込んでしまうと兆候・発症管理に遅れが出て、深刻な悪化へと導いてしまう恐れがあります。
管理監督者は、部下の本人らしくない行動を早期に発見するため、日ごろから職場内のコミュニケーションを重んじる必要があります。

◆◇◆過重労働に関する判例◆◇◆
最近ではうつ病などの精神疾患に対し、業務との関連性を認め労災を認定したり、事業者に対して賠償の支払いを命じる判決が多く出されています。また最近では平成18年9月4日に、退職後のうつ病による自殺も労災として認定するという趣旨の判決が東京地裁で出されています(国側が控訴の可能性あり、9月6日現在)。これについては、事業者側に対し過労と自殺の因果関係を認め、賠償の支払いを命じる判決が平成12年6月にすでに最高裁で確定しています。
このことから分かるように、事業者側はメンタルヘルスケアを怠ることにより金銭面・社会的地位の両面で多大なリスクを背負うことになります。
また、脳・心臓疾患の労災認定基準が平成13年12月に改正され、従来から重視してきた発症直前の過重負荷に加え、長期間にわたる疲労の蓄積も過重負荷として考慮されることになりました。新認定基準では「疲労の蓄積をもたらす労働時間の評価の目安」を次の通りとしています。

ⅰ)発症前1か月間ないし6か月間にわたって1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いと判断されるが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まるものと判断されること。

ⅱ)発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働が認められる場合又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと判断されること

厚生労働省では、こうした過重負荷を排除し長時間労働が招く脳・心臓疾患を抑止するため「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき処置等」を新たに定め、これに基づく健康障害防止対策を推進することとしました。以下は事業者が講ずべき処置等の一例です。

◆時間外労働に関する労使協定を締結する際は、時間外労働が月45時間以下となるよう努めること。また、時間外労働が月45時間以下となるよう適切な労働時間管理に努めること。

従業員に対するケアは、しいては会社自身に対するケアになりうるものです。従業員と会社、お互いによりよい環境を作るためにもメンタルヘルスケアの問題は今後ますます重要なものとなっていくでしょう。


投稿者:人事部 | カテゴリ: | コメント (336)